ある蒸し暑い夏の午後

ときどきポジティブ

(散文詩)夢

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外は雨だと信じてたけど、ベランダに出たら曇りで曖昧な色だった。白い濁りをはらんで色褪せている。少し汚れた水晶のように、不純物の向こうに潜む綺麗なものをほのめかしつつ濁っているのだ。雨は降ってはいないけど、雨の予感をはらんではいる。雨をはらんだ曇天の色。酸素をはらむ呼吸とも似ているけれどもっと美的だ。
君の壊した夢がある。生涯かけて君の壊した昔の君の夢がある。どんな夢など見ていたのやら、昔の君はもういない。
おれは煙草を吸いたいと思い、そうしてそれを実行はしなかった。実現されなかった思いは、しばらく心の中にわだかまった。煙草を吸いたい。煙草を吸いたい。おれは眼を瞑った。曇天の匂いを嗅いで、そして瞳を感じる。瞳を? 磨くより眺めたほうが有益な、そんな瞳もあるものだ。少し汚れた水晶と似て……。
曇天の匂いは女と似てた。そんな気がいつもするのだ。湿りけを帯びているからであり、闇が棲むからである。


※ 画像はフリー素材です。

詩とは関係ないけど、最近SNSを楽しいとまた感じるようになった。昨夜は全身タトゥーのポールダンサーと喋りましたよ(笑)向こうへ戻ることも考えているけど、ここでヘタに関係を築いてしまったというか、置いていっていいのか分からない人たちがいる。どうしよう。笑

三月十三日(日曜日)

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あれですよ、おれは本質的にはネクラなインドア派な人間ですからね。そんなに「正しい」人間ではない(笑)十代の頃は過剰な自意識を持て余して大変でした。二十代の頃は過敏な感覚を鈍麻させるために酒に溺れていたし。今はまあまあだけど、ネット民が知らない現実があるなと思う。どんな生活を営んでいようとネクラはネクラであるということ。彼氏彼女がいるからリア充というわけではないということ(笑)人間は単純ではない。顔出し系SNS(FB、インスタ)をやっている人はこれをごく自然に理解できる人が多いです。ネット民は駄目だけど(笑)話が変わるけど、ネットで面目を保っても意味はないです。現実生活が充実していなければ意味がない。逆に言えば、ネットで叩かれても意味はない、それで本気で悩むのは時間の無駄というものです。別におれはネットを否定などしていない、むしろ便利なものだと思う。ただ、ネットで叩かれて悩んでいる人は、さして問題でないことで悩んでいると思うんです。そういう人に適当に共感してみせることも出来るけど、それは余りしたくない。「戦士」と「ネット戦士」は違う。ネットと世界は同じものではないです。

また腹を立てる人が出てくるかな(笑)何か心当たりがあるから怒るんだよ……おれはお前を知らんぞ。


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無題

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自分の足音を聞いたよ。夜明けの街は静かだからね。真面目なほどに淡々としたそんな鼓動と似てはいた。何故だろう? 雫のような哀しみがある。蒼い水面(みなも)を乱す一滴。夜明けの街は少し荒んで見えたけど、哀しみは冷たく澄んで美しいほど蒼いのだ。真実。押し付けがましい言葉ではある。真実ならばそこにある。自分の選んだ真実を大切にして自分を守れ。みんなそうして狂わずに今日を暮らしているものだ。なかなかひどいことをしたけど、君を可愛く思っているよ。もう少し大人になったら、おれと付き合ってくれよな。勝手過ぎるか。


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これははっきり或る人に宛てた詩だけど、元気づけるためというか、いや、罪滅ぼしですね。そのために書いたんです。それ以上の意図はない。関係ない人が余計な反応とかしないでくださいね。めんどくせーっす。

(散文詩)エールかな 笑

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意味深な風である。優しいけれど銀色の雨をはらんだ冷たい風だ。詩を書くのならこの風をつかみ取らなければならない。風のしっぽを捕まえてその実体を記号化するのだ。リアルを前にネットはいまもなお弱い。退屈なのは独創性のないコラージュ、出来だけはいい模造品。自分の言葉を見つけないなら言葉を散らかすことしか出来ない。まさか知らないわけではないだろう。センスを学ぶことは出来るが、詩をお勉強しても無意味だ。雪のそばには唇がある。恐らく赤いからだけど、それを感じる感覚を培え。誰も彼もがそれをやらずに、机の前を動かないのだ。難しいことではない。五感はつねに精神だから、人はいつでも魂を持ち歩くものだから。あなたも見つけたことがあるでしょう? 陰毛のように曖昧模糊としたものでも、その奥には生臭い唇がある。


※ 画像はフリー素材です。

「培え」とか、命令形であるという(笑)ハードルの高い話をしているようだけど、そうでもないと思いますよ。おれは詩人を目指したことがない。なりたいとは思わないですね。ただ、詩人として扱われるようになったんです。していたことは、毎日を適当でなく過ごすことかな。

今日は……

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今日はコンビニでレジ袋を二つ買うはめになりましたよ。一つで済むと思ったんですけどね、何やかや買って二つになりました。そこでいきなり世界の話になりますが(笑)世界には計算通りに運ばないことのほうが多い。おれはよく知ってるんです。明るいものを見たいけど、色々と重なってそうもいかないこともあります。全くの白も全くの黒もめったにないですしね。馬鹿はいますけど(笑)まぁでも、馬鹿は愛すべきものですよ。


※ 画像はフリー素材です。一瞬、裸に見えるな。

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太古のような夜である。信じがたいほど、にわかには信じがたいほど黒いのだ。黒くて、広大。海をはらんだ広さとも認識される印象と膚。静かな闇の膚触り。黙想さえも拒むほど冷え冷えとした無音状態。やわらかいのは膚であり風であるから呼吸は楽だ。「綺麗ね」と、彼女が言った。綺麗ね。続く言葉はなかったがなぜか何かを聞いた気がした。何か、葉擦れのようなものを。マンションのベランダから眺める大停電の夜。ありとあらゆる思い出の集積としての今の自分。綺麗ね。おれは言った。「そう、綺麗……」


※ 画像はフリー素材です。

これで終わり?という感じですけどね、この作品はこれでいいと思っています。