ある蒸し暑い夏の午後

ときどきポジティブ

(散文詩)夢

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外は雨だと信じてたけど、ベランダに出たら曇りで曖昧な色だった。白い濁りをはらんで色褪せている。少し汚れた水晶のように、不純物の向こうに潜む綺麗なものをほのめかしつつ濁っているのだ。雨は降ってはいないけど、雨の予感をはらんではいる。雨をはらんだ曇天の色。酸素をはらむ呼吸とも似ているけれどもっと美的だ。
君の壊した夢がある。生涯かけて君の壊した昔の君の夢がある。どんな夢など見ていたのやら、昔の君はもういない。
おれは煙草を吸いたいと思い、そうしてそれを実行はしなかった。実現されなかった思いは、しばらく心の中にわだかまった。煙草を吸いたい。煙草を吸いたい。おれは眼を瞑った。曇天の匂いを嗅いで、そして瞳を感じる。瞳を? 磨くより眺めたほうが有益な、そんな瞳もあるものだ。少し汚れた水晶と似て……。
曇天の匂いは女と似てた。そんな気がいつもするのだ。湿りけを帯びているからであり、闇が棲むからである。


※ 画像はフリー素材です。

詩とは関係ないけど、最近SNSを楽しいとまた感じるようになった。昨夜は全身タトゥーのポールダンサーと喋りましたよ(笑)向こうへ戻ることも考えているけど、ここでヘタに関係を築いてしまったというか、置いていっていいのか分からない人たちがいる。どうしよう。笑