ある蒸し暑い夏の午後

ときどきポジティブ

猫……

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場違いな猫もある。たそがれ時の浜辺で猫を、海と語らう孤独な猫を見た人なんて余りいません。もし見たというのなら、たぶん老人と見間違えたのです。お婆ちゃんと。猫みたいなお婆ちゃんていますからね。猫みたいなお爺ちゃんもたまにいるけど、その問題をここで論ずるのはやめておきましょう。ともかく猫の話です。おれの記憶の中のそれは絵面が決まり過ぎているので、捏造記憶とすぐに分かる。カメラ位置が決まり過ぎているのです。沈む夕陽を食む海と、それを見つめる猫の背中。正面から光を受けているので、猫の背中は真っ黒な影としてある。綺麗な画です。夢の途中で鮮明な画と出くわすことがあるけど、あれと同じです。想像力と記憶との結合が生む二次創作。想像力も思い出ならば、人生の広さは無限だと思う。SF作家は他人より旅をしているはずで、色々と知っていることもあると思われます。現実と想像力とは互いに影響を及ぼし合うものです。ここではそれを論ずることもしないですけどね、面倒なので(笑)それより一つ、もっと普通の、従ってもっと共感されやすい捏造記憶の例があるなと思いました。海の近くの坂道です。白い服着た女の子が自転車ですーっと下っていく。何となく、記憶にある感じしませんか。でも、記憶にあるという方は自分を疑ってみてほしいです(笑)たぶんそれ、本当は見たことないですよ。

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