ある蒸し暑い夏の午後

ときどきポジティブ

妄想です

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雪の静かに降る夜に、公園のベンチで死んだ人もある。不幸とは限らないけど切ないなとは思います。その人はきっと眠ればもう一度目覚めることはないと知ってた。最後に見たもの、聞いたもの。出来ることなら音楽を、息をひき取るその時を音楽で優しくしたいとは思う。涙の一滴と似たつつましい音色で。でもこれはこちらの願望で、その人の願いとは全然違うかも。その人の最後の願い。かつて自分の捨てた息子の声を聞くことだったかもしれないし、ただ単に「楽になりたい」というものだったかもしれない。しんしんと降る雪は、美しいけど無関心。沈黙の中で死ぬのは痛ましい感じがします。自分の物語さえ語らず、誤解を解かずに死ぬのはどんな心地か。単に不幸な人として死ぬのは。でも、楽になれるから良いと思ったかも。或いはこの時を待っていたのかも。幸せならば知っている。知らない人は余りいません。幸せとはどんなものか、忘れた人ならいるけれど。たぶんこの時を待っていました。だから眠りは優しくて、慰安のようなものでした。そして静かに死んだのです。安らかなその顔は、どこか子供のように無垢。

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