ある蒸し暑い夏の午後

ときどきポジティブ

自覚のない……

自覚のない統合失調症患者はどれくらいいるのだろう。ネットをしていると、沢山いるような気もしてきますけどね。自意識が強くてなおかつ被害者意識の強い人、自分に言われたわけでもない言葉を自分に言われたように感じる人、相手からは何もされていないの…

男娼

約束もさまざまだ。彼は彼女を裏切らず他の女と交わることが出来る。何故? 彼の愛情はその肉体の先端にまで浸透しているからだ。彼の先端、勃起した彼のぺニスの先っぽから迸る白いもの。白濁し、糸をひく、鈴の音の余韻のように糸をひくその液体は、全て彼…

何となく……

前の彼女のことを何となく思い出す。歯並びが悪いのがむしろ色気となっている子でした。十歳も年下で、スマホ依存で、「文字だけの本」が読めない人でした。挿し絵やイラストのある本、つまりラノベや漫画しか読めない人。たぶんだけど、今はこういう人はた…

ボーイミーツガール

出逢ってから二日後のこと、彼女は彼を感じながらこんな話をした。「二人だけになりたいね。人類が滅亡して二人だけ生き残るの。世界にたった二人だけ」彼女は彼を感じていた、彼の呼吸と熱と匂いを。彼の腋毛を湿らす汗がほのかに香っているのである。二人…

貝殻(簡単な詩)

この貝殻は手紙です 中には文字が書いてある 何と書いてあるでしょう? 虹色をした殻の中 夏色をしたメッセージ「海を見上げる坂を見たいの わたくしちょっくら旅に出ます」※ 画像はフリー素材です。所要時間五分の仕事(笑)まぁこういうのはこういうのでア…

SNSと距離を置いたら……

SNSと距離を置いたらSNSが愉しくなった。この状態をキープしたいので距離を置き続けようと思う。SNSでは表現者とばかり付き合っています。ある女の子は、死にたいとか死ぬとかしょっちゅう言っている。自分に言い訳をするのが下手な子で、自分の駄…

詩の話

実を言うと、おれのメインの仕事は文筆です。くだらない文章を書いています。仕事とは別に、自分の自由に書くためにブログを始めました。最近は散文詩(掌編小説?)のようなものを書いてブログで公開していますが、以前は趣味で普通の詩を書いていました。…

脱出

そして話はひとつの道を辿るのだ。甘い今後を夢想しながらみんな滅んでいくのです。バスに乗り合わせたわけは? 同じ未来を望むからです。平和のような木漏れ日の中、ひとつの場所を目指しています。二人の逃れようとしたもの。それは恐らく正当なもの、正し…

プテロスの片隅で

「またはそうでなければ、何か再び壊れるだろう。再び? 一度めはイエルの海を見た時だ。あれは記憶を映すからである。ひすい色した水面の映す秘密というものがある。脳と呼ばれる森の深間のその奥に置き去りにした、君の忘れた君があるのだ。イエルの海はそ…

微香性

テレパシーである。彼と彼女のあいだには、眼には見えない絆があるのだ。眼に見えず、耳に聞こえず、しかし確かに二人は対話している。どのようにして? 彼女が彼の髪を切り、そうして彼が、彼の意識がそれを全面的に受け入れることによって。恐らくそうだ。…

世代ですな……

時々手伝っている店の女の子がこんな不満を述べている。今の若い子は飲みに来ても酒を飲まないと。烏龍茶とかオレンジジュースとか飲むと。そもそも今の子には飲みに行くという習慣がないと。それでも店に来るわけは、出会いを求めているからだと。これは不…

聖(セイント)エドナ

彼に理由を問われたもので、彼女は少し考えた。理由? 彼と別れる理由だろうか、それとも彼と今まで別れずにいた理由だろうか。だがすぐに、考えるまでもないことだと気づいた。それら二つは同じ理由を共有していたからだ。「私はあなたには完璧すぎるの」と…

映画の話

土曜日だから? 散文詩ではなく雑記を書きます。十代の頃に観た映画の話。十代半ばから二十歳にかけて映画館に通っていました。シネコンは好きではなくて、理由はデパートみたいで映画館の匂いがしないから。入場料が高いというのもありました。よく行ったの…

夜の断章

ネオンの灯るその下で、若者がカップ麺を啜っている。店の入居している雑居ビルの壁を背に、しゃがんで、ネオンの色の変わるたびその顔色を赤やブルーに変えながら。彼は誰にも注意されないだろう。ネオンの謳う店の名前を考えたのはおれである。ママだけが…

万事快調

朝か午前か? 九時半である。彼女は目覚め、混乱し、そして理解し、安堵しただろう。隣の部屋を感じたはずだ。リビングである。リビングから声が漏れ聞こえてくる。それをラジオの音声だと認識するのに要した数秒間がある。テレビではない、ラジオだ。そこへ…

呼吸の問題

空があるのは色があるから。他の理由があるだろうか? あるだろう。盲人にとっても空は存在するのである。盲人は空を感じる。空の青みを知らずとも空を感じていると思う。これは呼吸の問題だろう。時空ではない。彼女が敬語を使い始めた。おれに対して何か気…

おとぎ話

何故? つまり彼女は聞きたいことがあるのである。要求は答えである。彼の答えを貰えるまでは要求をする。何故? 背景を為す物語、後ろに広がる光景をもの語るのは野暮に思える。彼女からこの問いが投げかけられたことが重要なのだ。何故、私を置き去りにし…

ウェーイ!みたいな……

昨日はピザを頼んだ。宅配ピザの醸し出すパーティー感てありますよね。子供の頃は嬉しかったものだけど、今はそうでもないです。パーティーは嫌いです(笑)いや、好きなのかな。クリスマスも年越しも盛り上がってる場所にいました。でも、不本意でしたね。…

ドッペルゲンガー

澄んだものがある。稀薄な海と似たものが。彼の波及するもの、彼のつかさどるもの。しかし彼女は(彼の愛するものは)こう考えることで彼から逃れようとする。「彼? あの変質者をそう呼ぶのなら、私もどうかしている」と。実は彼女は詩を書いている。例えば…

花影(かえい)論

彼と彼女の出逢うまで、そのために捧げられた時間がある。彼は或いは美しく、そして彼女はたぶん美しくなかった。彼女は美しいというより可愛かったのだ。最初に眼の合った時、彼女はつかのまの心拍停止を、呼吸の一時停止を経験している。「時が止まったよ…

過去のない男

鳥を見たように思うのだ。彼女は、彼の背中を見ると。いつも黒い衣服に覆われているので、鳥の色も黒かった。雪原の中で見つけた鳥は大抵は茶色いのだが。明確なイメージとなって現れるのではない。鳥の印象、眼の前でふいに飛び立つ大きな黒い鳥の「印象」…

イノセント

少年の話である。少年の恋の話。少女の話である。春の日の公園で、彼女は鳩を追いかけていた。虫捕り網で捕まえようというのである。夢と似て、輪郭の鮮明でない、滲んだ場所を何と呼ぶのだろう。陽の光に恵まれ過ぎて、全て滲んでしまっている。歓喜のよう…

クロスルーム

「まだ見つけてない。自分の描いた絵の中に閉じ込められた人がいる。きっと気が狂うわ」そういう彼女も画家である。具象から抽象に至り着くタイプの画家、物の輪郭でなく印象を画布に刻印する。彼女の言葉を借りるなら、それは「残り香を記憶すること」だ。…

日記をですね……

日記を書くのを不定期に変えようと思っています。書きたいことがある時に書く。理由はブログを長く続けるため、精神的な負担となる要素を除くため、早い話が自分を甘やかすためです。散文詩のほうは毎日書きます。そちらは虚構を織り交ぜることが出来るし、…

花火

救急車を自分で呼んだの。でも、間に合わなかった。その人は死んで、今頃たぶん全部なかったことにしている。なかったことに? 彼女はある通り魔殺人の話をしているのである。事件のあった場所を、たったいま通ったのだ。「そう。なかったことに。いやな記憶…

二月一日(火曜日)

ベッドのそばに「裸のランチ」を置いている。ご存知でしょうか、裸のランチ。ウィリアム・バロウズというジャンキー作家の代表作で、脈絡のない超現実的イメージで溢れ返った小説です。おれは決して読書家ではなくて、村上春樹さえ読んだことがないんだけど…

初恋

死んだのは祖母である。赤い硝子のビー玉をひとつ落として死んだのだ。こと切れた瞬間のこと、ベッドから落ちたものがあり、みなが不思議に思ったという。何も握ってはいなかった。ベッドの上のどこかに紛れていたのだろうか? 彼女の孫が疑われた。小学五年…

一月三十一日(月曜日)

夕方なんて好きです。影と疲労の相性の良さ。疲労に曇る眼差しに優しいものは影である。少し充血してますし、眩しいものは求めてません。眼は心理にも影響し、胸のうちにも陰が差す。孤独のような凛々しいものがこんな時には感じられます。今のおれは余り孤…

天使その人

すれ違っても出逢ってはいないのだろう。人と人とがすれ違う。接近し、互いの呼吸を感じる位置を一瞬占め、そこでつかのま呼吸する。自分のものとするのには、一瞬過ぎて色々と足りない時間。そして互いを離れていく。接近し、互いを掠め、そして離れる。こ…

一月三十日(日曜日)

晩めしを中華料理屋で食いました。炒飯と麻婆豆腐。中華料理屋では麻婆豆腐を絶対頼む人なのです。基本、麻婆豆腐ならどんなものでも美味しく食べれる。店のものでも家庭のものでも。ワンタンは断然、家庭派ですけどね。お店の高級な味より家庭の味。麻婆は…